第14回ピアノ分解教室 催事終了報告
2023年8月6日(日)
「第14回ピアノ分解教室」を開催いたしました。
午前の部14組34名、午後の部14組34名と、小学生から大人の方まで、たくさんの皆様にご参加をいただきました。
調律師の塩見浩和さんが、スタインウェイピアノを分解しながらピアノの仕組みや成り立ちなどを詳しく教えてくださいました。塩見さんがピアノの鍵盤をはずした瞬間、普段なかなか見ることのないピアノの姿に、「わぁ!すごい!!」といった声が上がりました。また、ピアノの様々な箇所を触り音の響きを確認したり、ヤスリでハンマーを削ったり、チューニングハンマーを使用し調律を行ったり、たくさんの体験もお楽しみいただきました。
この教室を通して、今まで以上に「ピアノ」「音」「調律師のお仕事」に興味をもっていただけたのではないでしょうか?
教室の最後に、「調律師の塩見さんに聞いてみたいこと♪」の時間を設けましたが、時間の都合上お答えしきれなかったご質問への回答を掲載いたします。
Q塩見さんはどうして音が違うことが分かるのですか?
→調律学校で絶対音程を訓練したからです。
Q塩見さんは、ピアノ修理や他の楽器の調律はできますか?
→ピアノ修理はできます。ギター・バイオリン・打楽器の調律はできます。
Q塩見さんは何故ピアノが好きになったのですか?また、塩見さんにとってピアノはどんな存在ですか?
→低音から高音まで、幅広い音域を持っているから。ピアノは心のすべてです。
Qどの音が好きですか?
→全ての音が好きです。
Q歌手が喉を労わるように、耳の調子を整えるために気を付けていることはありますか?
→睡眠をしっかりとるように気を付けています。
Q塩見さんが調律師のお仕事の中で大切にされていることは何ですか?
→それぞれのピアノのもっている個性を伸ばしてあげるようにする調律を大切にしています。
Qピアノの調律は難しいですか?
→覚えたらある程度のところまでは簡単ですが、つきつめて良い音を見つけるのは難しいです。
Q調律師は楽しいですか?
→とっても楽しいです。
Qピアノの種類によって調律の仕方は違いますか?
→どんな温度変化を受けるか、を考えて調律の仕方を変えています。
Q一流の調律師・コンサートチューナーになるにはどうしたらいいですか?
→楽器店に就職して、そのあと独立して仕事をしながらも色々なメーカーの研修や資格をとり続けるとなれます。
Q愛媛県内には何人の調律師がいますか?
→50人くらいいます。
Q一番大変な調律だと思う機種(メーカー)はありますか?また、調律しやすい(または難しい)時期などはありますか?
→カワイピアノ、ボストンピアノ。調律しやすい季節→秋。難しい季節→夏。
Q今まで何台くらいのピアノを調律し、その中で一番大変だった調律で何日くらいかかりましたか?
→3万台。4日くらいかかりました。
Q調律師になるにはピアノを弾けたほうがよいですか?耳が悪いと調律師には向きませんか?
→弾けなくても大丈夫です。音が好きなら耳の良し悪しはほぼ関係ありません。
Q調律でその音(音程)に決める決め手はなんでしょうか?
→澄み切った音になった時が決め手です。
Qプロが使うピアノと一般家庭のピアノ、調律で気を付けることに違いはありますか?
→プロのピアノの場合は、ピアニシモからフォルテシモまでのタッチによる表現をよりしやすくするように調整します。家庭のピアノの場合は、練習によって消耗する部品を補正しながら調律します。
Qグランドピアノのキャスターの向きで音色が変わると聞いたことがあるのですが本当ですか?
→はい。キャスターを外向きにするとよく響き、内向きにするとおとなしい響きになります。
Qアップライトピアノをグランドピアノのタッチや音色に近づけることはできますか?
→整調、整音をすればできます。
Qピアノの種類はどんなものがあり一番多い種類は何ですか?ピアノの種類(形)は何故違うのですか?
→ヤマハ・カワイ・スタインウェイ・ベヒシュタイン・ベーゼンドルファーが有名です。ヤマハが一番多いです。
弦の長さが種類によって違うからです。
Qピアノの値段がどうして色々なのですか?(素材?が違う??)
→外装の木の種類や大きいピアノ・小さいピアノによって値段が違います。
Q古いピアノと新しいピアノの違いは何ですか?(音色や構造など)
→ハンマーフェルトや木の品質や産地が変わってきているので、音色や弾き心地に違いがあります。
Qどのくらい古いピアノまで再生できますか?
→150年までは大丈夫です。
Qピアノの低い音と高い音はどちらが多いですか?一番長く響く音は何ですか?
→低い音が多いです。一番左の「ラ」の音が、弦が一番長いので一番長く響きます。
Qピアノの部品は何個とれますか?また、部品の名前にはどんなものがありますか?
→約15,000個です。部品名は、教室内で配布した「アクション図」のとおりです。(図のところに部品名がございます。)
Qピアノはどうやってできたのですか?
→チェンバロを叩く鍵盤楽器に変えてできました。
Qピアノの分解は大変ですか?
→簡単です。
Qピアノをよく弾く人は何年に何回くらいハンマーをけずりますか?他のものとの差を防ぐために削るときは全ての音を削りますか?
→5年に1回です。よく弾いた部分だけ削ります。差を防ぐためには、また違う調整によってバランスをとります。
Qハンマーを全部削るのは大変じゃないですか?手は痛くなりませんか?コツはありますか?
→たくさん削ると脱力してできるようになるため、疲れにくくなります。
Q皮は動物の種類によって音がかわりますか?
→音は同じですが、タッチ感や鍵盤の弾き心地が変わります。
Qピアノの弦の原料は何ですか?弦がきれたらどうしますか?
→炭素鋼(たんそこう)です。きれたら張り替えます。
Qペダルを踏んで音が<小さくなる><伸ばせる>のはどうしてですか?
→<小さくなる>のは、ハンマーが弦に圧力を加えないようにする位置に左ペダルを踏むと動くような仕組みになっています。<伸ばせる>のは、右ペダルを踏むと、弦を抑えているダンパーフェルトが全ての弦から離れ、叩いた鍵盤の響きがピアノ全体の弦と響板に共振(きょうしん)するからです。
Q机にチューニングピンがあったのは何に使いますか?
→ピンは弦を巻いています。そのピンがピアノに半分埋まっていて、残り半分の埋まっていない部分に調律工具をさして調律ができます。参加された皆様が調律体験された時に、工具で押し回したのが埋まっていない部分のチューニングピンになります。
Qフェルトの下にあるアンダーフェルトの「あり」「なし」で音の違いはあるのでしょうか?
→アンダーフェルト「あり」は「なし」に比べて寿命が3倍くらい長いです。
次回ピアノ分解教室は、2024年8月4日(日)の開催予定です。
ご興味のある方は、ぜひお問い合わせください♪
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。