第15回ピアノ分解教室 催事終了報告
2024年8月4日(日)
「第15回ピアノ分解教室」を開催いたしました。
午前の部15組34名、午後の部15組34名と、小学生から大人の方まで、たくさんの皆様にご参加をいただきました。
調律師の塩見浩和さんが、スタインウェイピアノを分解しながらピアノの仕組みや成り立ちなどを詳しく教えてくださいました。皆様、熱心にメモを取ったり写真を撮ったりしながら、ピアノや音について学んでいました。<調律体験>のコーナーでは、耳を澄まして調律をする方とそれを見守っている方の姿が印象的でした。「調律って難しい!」「調律師になるにどうしたらいいの?」と、調律のお仕事に興味をもたれている方もたくさんいらっしゃいました。
教室の最後に、「調律師の塩見さんに聞いてみたいこと♪」の時間を設けましたが、時間の都合上お答えしきれなかったご質問への回答を掲載いたします。
Q塩見さんは普段はどんなところでお仕事をされていますか?
→今治市、松山市、西条市、新居浜市、伊予市、砥部町、大洲市、など愛媛県内です。
Q塩見さんが今まで経験して一番よかったと思うピアノはどこのメーカーですか?
→ベヒシュタインピアノです。
Q塩見さんは何歳のときから調律師になられましたか?
→24歳~。
Qスタインウェイやカワイなど、種類によって調律の仕方を変えたりするのですか?
→はい!メーカーによってチューニングピンの硬さが違うため。
Q調律をするときに大変なことは何ですか?
→ピアノが置かれているところでの調律中の極端な温度変化があると調律が厳しくなります。
Q1つのピアノを調律するのにどれくらい時間がかかりますか?
→約2時間です。
Qメーカーによって鍵盤の重さが違う(○○は重いなど)と聞きますが、調律で重さは変えられるのですか?
メーカーによって基準となる鍵盤の重さなどあるのでしょうか?
→基本的にはメーカーの鍵盤鉛設計で決まっていて大きくは変更できません。
基準は50g~60gで鍵盤が押せるように作っています。
Q県内/全国にピアノの調律師は何人くらいいますか?
→約5100人です。
Q調律師の養成学校は全国に何校ありますか?学費や修業年限はどうなっていますか?
→8校、2年(4級)で約250万円前後です。
Q調律師はどのような資格ですか?国家資格ですか?
→国内は法人資格(メーカー内)で1級~4級です。
Q調律師が一人前になるには何年くらいかかりますか?
→1級(コンサートピアノ調律)取得までは約12年くらいです。各メーカーでさらに研修します。
Q調律師になるためにはどのような経歴が必要ですか?
→音や音楽が好きなことと、楽器の響きが細かく聴きとれる耳があれば演奏できなくてもなれます。
Q調律師の仕事をしていくなかで大事なことは何ですか?
→より良い音を毎日作り続けることです。またそれが大好きなことです。
Q調律師として一番こわいこと、今までに一番大きな失敗はどんなことですか?
→何十年も調律されていない古いピアノの調律中に断線したことです。
Qピアノの手入れの仕方・コツを教えてください。
→ピアノのあるお部屋の温度をできるだけ一定に保つようにできれば長く使えます。
Qどのような順番でピアノは作られますか?
→響板➡外装➡鉄骨フレーム ➡弦➡アクション、ペダル➡鍵盤です。
Qピアノ(元はチェンバロ)はどうやって思いついてこのような型になったのですか?
→チェンバロの原型であります古代弦楽器から引き継いでおります。
Qグランドピアノの重さはどれくらいありますか?
→380キロ~450キロです。
Qグランドピアノは何人くらいで作られていますか?またグランドピアノを作る職業の人を何といいますか?
→工場では100人くらいで作っていてピアノマイスターといいます。
Qピアノを直す道具は何種類くらいありますか?
→150種類はあります。
Q1台のピアノに何本くらいの木が必要ですか?
→大きな大木が2,3本必要です。
Qピアノ室に適した温度はどのくらいですか?
→24℃から26℃です。
Qピアノメーカーによって構造や仕組みが共通していること、全く違うことなどありますか?
→外装、フレームの仕組みは共通していて、響板、ハンマー種類が全く違います。
Qアップライトピアノはグランドピアノのように大きくないですが、どのような仕組みで音の高低をつくっているのですか?
→グランドピアノをよりコンパクトにしていて機能比率は同じです。
Qピアノによって音の質がかわりますか?
→そのピアノの響板材質やハンマーの種類によって変わってきます。
Qグランドピアノは、何故ひっかかりがあるのですか?
→連打しやすいレペテション機能があるからです。
Q一番ひきやすいピアノは何ですか?また高いピアノは何ですか?
→ご質問の両方ともスタインウェイピアノです。
Qピアノの値段は何によって決まりますか?
→木とフェルトの種類、丁寧に作られる年数が長いほど高価です。
Q高価なピアノと廉価なピアノの違いはどこですか?
→木とフェルトです。
Qピアノは中の部品を交換すれば何年でももちますか?
→150年は持ちます。
Q古いグランドピアノは大きな響板ごと交換することはありますか?
→希少ですがあります。
Q響板の響きが大きい所と小さい所があるのは何故ですか?
→弦振動の周波数域(鍵盤位置)によってバランスよく自然に聞こえるように伝えているためです。
Qピアノの黒いところは何でできていますか?
→黒檀かベークライトです。
Q整音のためにハンマーフェルトを削るとなまり調整されたバランスがくずれたりするのでしょうか?
→整音のためでの削りではそこまでは崩れません。
くずれる場合、どのように調整するのでしょうか?
→ハンマー交換します。
Qハンマーの汚れを削るのに「4~5回」というのは、どうやってわかるのですか?ノートとかに控えておきますか?
もしくはボリュームを見てわかりますか?
→汚れの度合いを目で確認して経験から削る回数を決めます。
Qハンマーが革の頃はどうやって直していたのですか?
→交換のみです。
Q何故赤いフェルトがついているのですか?
→フェルトに弾力を持たせてより良い音を出すために(アンダーフェルト)を入れています。
Qなぜ弦を手袋で持ったのですか?
→手の油分が付くと錆びやすくなるからです。
Q低音と中音の弦が交ざっている(交差している)のはどうしてですか?音の影響はないのですか?
→交差弦と言って一つの響板に低、中、高音の音量がうまくミックスできるようにしているためです。
Qペダルはどこと繋がっていますか?
→アクションの奥側にあるダンパー部品です。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。